この記事の要点
イーサリアム(ETH)創設者のヴィタリック・ブテリン氏は2026年2月14日、仮想通貨ベースの予測市場が短期的な価格変動や、スポーツイベントを対象とする賭博的用途へ過度に集中している現状に懸念を示しました。
同氏は自身のX(Twitter)への投稿で「市場規模は拡大し、専業トレーダーが成立する水準に達しているものの、本来期待される社会的情報集約機能や長期的価値創出から乖離しつつある」と指摘しています。
一方で、弱気相場下で収益機会を求める動機そのものは理解できるとしつつも、その結果として短期的刺激に依存する「ドーパミン価値」型の設計が強まれば、プラットフォームの方向性が構造的に歪む恐れがあると警鐘を鳴らしました。
ブテリン氏は現状の成功を評価しながらも、予測市場の役割を金融リスク管理や情報発見の基盤へと再定義する必要があると主張しています。
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予測市場は、情報を提供して「利益を得るトレーダー」と、その取引の結果として「損失を負う参加者」によって成立しているサービスです。
そのうえでブテリン氏は、損失を負う側がなぜ市場に参加し続けるのかについて、「誤った判断を行う素朴な参加者」「情報取得を目的に赤字の自動マーケットメーカーを設置する情報購入者」「期待値はマイナスでもリスクを軽減するために参加するヘッジャー」の3つのタイプを挙げています。
こうした分類のうち、現在の予測市場は「誤った判断を行う参加者に依存する傾向が強い」との見方をブテリン氏は示しています。
特定の誤認的な意見を持つ参加者の資金に過度に依拠することで、ブランドやコミュニティ設計がその方向に引き寄せられる危険性があると警鐘を鳴らしました。
「情報取得を目的に赤字の自動マーケットメーカーを設置する情報購入者」については、経済学者ロビン・ハンソン氏らが理論的には理想としてきたモデルであるとしつつも、情報が公共財として広がるため、費用負担の主体が限定されるという課題があると説明しています。
こうした背景を踏まえ、ブテリン氏は「利益を得ることよりもリスク軽減を目的に市場を利用する参加者こそが、予測市場をより持続可能な仕組みにする」と主張しました。
同氏は、あるバイオテック企業の株式を保有する投資家が、業界に有利とされる政党と不利な政党の選挙結果を対象に予測市場ポジションを組み合わせることで、株価変動リスクを平均的に抑制できると説明しています。
その具体例として、紫党勝利時の株価レンジを80〜120ドル、黄党勝利時を60〜100ドルと仮定し、10ドルのポジションを取ることで、両ケースとも70〜110ドル相当へ収れんするモデルを提示しました。
対数効用モデルに基づくと、このリスク低減効果は0.58ドルの価値に相当すると試算しています。
こうしたヘッジ機能の延長線上として、ブテリン氏はステーブルコインの在り方にも言及しました。
米ドル建てステーブルコインに依存する構造では、仮想通貨(暗号資産)エコシステムは完全な分散性を確保できない可能性があると指摘しました。さらに、個人や企業ごとに将来の支出構造が異なる点にも触れています。
こうした課題に対する構想として、各種財・サービスの価格指数ごとに予測市場を設け、利用者の将来支出に基づいた「N日分の支出バスケット」をローカルLLMが設計するモデルを提示しました。
この設計では、資産形成は株式やETHで行い、安定需要は個別化された予測市場ポジションで補完する構造を想定しています。
また、設計上の前提としてブテリン氏は、利息を生まない法定通貨建てよりも、利回り資産やラップド株式、ETH建てでの市場設計が前提になるとの見解も示しました。
利息を生まない通貨建てでは機会費用が高く、ヘッジ手段としての合理性が損なわれる可能性があると指摘しています。
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予測市場を巡っては、分散型プラットフォームの高度化が進んでいます。
なかでも分散型予測市場「Polymarket(ポリマーケット)」は、政治イベントや経済指標を対象とする市場拡大を続けており、流動性の増加が報じられています。
こうした動向について一部メディアは、仮想通貨ベースの予測市場が選挙やマクロ経済イベントのセンチメント指標として参照される事例が増えていると伝えています。
市場が拡大局面にあるなかで提示されたブテリン氏の構想は、予測市場を娯楽的投機の場から金融リスク管理の基盤へ再定義する視点を示しました。
取引量の拡大だけでなく、設計思想の転換が実際の市場構造に反映されるかどうかが、今後の焦点となります。
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Source:ヴィタリック・ブテリン氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像
