● アルトコインの約38%が史上最安値圏にあり、市場全体の弱さが顕著になっている。
● 資金はビットコインへ集中し、多くのアルトコインは長期的な下落トレンドにある。
● 歴史的にはATL付近銘柄の増加は、市場サイクル終盤のストレス局面で観測されやすい。
現在の暗号資産市場では、ビットコインの価格動向だけでなく、アルトコイン市場全体の状態を把握することも重要である。その一つの指標が「Altcoins near ATL(史上最安値付近にあるアルトコインの割合)」である。この指標は、BTC・ETH・ステーブルコインを除いたアルトコインのうち、どれだけの銘柄が史上最安値(All Time Low)付近に位置しているかを示している。
このチャートは、暗号資産市場のオンチェーンデータ分析を専門とする Darkfost(CryptoQuantのVerified Author)によって作成されたものである。現在この割合は約38%に達しており、アルトコイン市場の約4割が史上最安値圏にあることを意味している。
過去の市場データを振り返ると、この水準はアルトコイン市場のストレスが非常に高い局面で観測されることが多い。つまり現在の市場は、アルトコインにとって極めて厳しい弱気環境にあると言える。
この指標を長期的に見ると、暗号資産市場のサイクルとの関係が見えてくる。アルトコインのATL割合が低い時期は市場が強気相場にあり、多くのアルトコインが上昇トレンドにある。一方、この割合が30%を超えると、多くのアルトコインが長期的な下落の中で価格を切り下げている状態を示す。
2022年のベアマーケットでも同様にATL割合は大きく上昇し、その後市場は底打ちを迎えた。今回のサイクルでも2025年後半からアルトコイン市場の弱さが続き、2026年に入りATL割合は再び急上昇している。現在の特徴は、ビットコイン価格が比較的高い水準を維持しているにもかかわらず、多くのアルトコインが大きく下落している点である。これは市場資金が一部の主要資産に集中している状況を示している。
この状況の背景には、いくつかの要因がある。
第一に資金の集中である。現在の市場では、機関投資家や大口資金の多くがビットコインに集中している。現物ETFの存在や市場流動性の高さにより、資金はBTCへ流入しやすく、アルトコイン市場には資金が流入しにくい構造となっている。
第二にアルトコイン市場の供給増加である。近年は新しいトークンやプロジェクトが急増し、アルトコインの銘柄数は大きく増えた。その結果、資金が分散し、多くの銘柄が長期的な下落トレンドに入っている。
第三にマクロ環境の影響もある。金利の高止まりや流動性の低下はリスク資産にとって逆風となりやすい。特にボラティリティの高いアルトコインは投資家のリスク回避の影響を受けやすく、資金流出が起きやすい状況となっている。
しかし、この状況は必ずしも長期的な弱気を意味するものではない。歴史的に見ると、アルトコインのATL割合が極端に高まる局面は市場サイクルの終盤で観測されることが多い。市場がパニック状態にあるとき、多くの投資家はアルトコインを売却し、価格は極端な水準まで下落する。その結果、売り圧力が市場から徐々に吸収され、次の上昇局面に向けた基盤が形成される。
将来的にビットコインの強気トレンドが再び明確になれば、資金は徐々にアルトコイン市場へと流れ始める可能性がある。過去のサイクルでも、BTC上昇の後にアルトコイン市場が活性化するいわゆるアルトシーズンが訪れてきた。現在のATL割合の高さは、アルトコイン市場の弱さを示すと同時に、市場サイクルの転換点が近づいている可能性を示唆する指標の一つと言えるだろう。
オンチェーン指標の見方
この指標は、BTC・ETH・ステーブルコインを除いたアルトコインのうち、史上最安値(ATL)付近にある銘柄の割合を示す。割合が上昇するほど、多くのアルトコインが長期下落の中で価格を切り下げていることを意味する。30%以上になると、市場全体のストレスやキャピチュレーションが進んでいる可能性を示唆する。歴史的には、この割合の急上昇はアルト市場の弱気局面やサイクル終盤で観測されやすい。



