AIエージェント向けの身分証明と評判管理規格「ERC-8004」が1月30日、イーサリアムメインネットで稼働を開始した。同規格の開発者であるDavide Crapis氏がX(旧Twitter)で発表し、2026年2月を「8004 Genesis Month(創世月)」と宣言した。これに呼応する形で、AIエージェント決済特化型ブロックチェーンのKite AIが同日および2月4日、ERC-8004の実装基盤としての役割を段階的に明示した。
Crapis氏によると、ERC-8004の仕様策定から5ヶ月が経過し、テストネットでは既に1万以上のAIエージェントが登録されていた。今回のメインネット稼働により、自律型AIソフトウェアが実際の経済活動を行うための信頼基盤が整った。
イーサリアム公式も1月27日、ERC-8004が「組織を超えてAIエージェントが相互作用できるようにする」標準として準備が進んでいると発表していた。同規格は、AIエージェントに永続的なオンチェーンIDと評判記録を与え、異なるシステム間での信頼構築を可能にする。
Kite AIは1月30日、Crapis氏の発表を引用する形で、ERC-8004エコシステムにおける自社の役割を3層構造で説明した。
第1層は「ERC-8004」で、AIエージェントを発見可能かつ評価可能にする。具体的には、アイデンティティ、評判、検証の3要素を提供する。
第2層は「x402プロトコル」だ。これはコインベースが提唱する規格で、HTTPリクエスト内に決済を組み込み、API呼び出しごとに課金できる仕組みを提供する。
第3層が「Kite」となる。Kite AIは「Kite Passport」を通じて検証可能なアイデンティティとプログラマブルなエージェントガバナンスを提供し、x402準拠の決済レールを構築する。高速決済レーンにより、エージェント間で監査可能かつ調整可能な決済が実現する。
Kite AIは「エージェント経済は誇大宣伝では動かない。検証可能な信頼シグナルと決済可能な支払いで動く」と強調した。
Kite AIは2月4日、さらに踏み込んだ説明を公開した。ERC-8004が「権限を定義する」のに対し、Kite Mainnetは「権限を実行時に強制する」インフラだと説明している。
Kite AIは「規格だけでは自律性は生まれない。実行時に権限を強制するインフラがなければ、許可は文書に格下げされ、事後的にレビューされるだけで、アクション中には保証されない」と指摘する。Kiteメインネットはこのギャップを埋めるために存在すると強調した。
具体的には、実行前に権限をチェックし、アイデンティティ、スコープ、制約が一致しなければアクションは実行されない。一致すれば、ステーブルコイン決済でループを閉じ、検証可能な証明を生成する。Kite AIは「ERC-8004が権限を定義し、Kiteメインネットがインフラとして強制する。政策ではなくインフラとして」と明言している。
権限はプログラマブルなオブジェクトとして符号化され、以下の特性を持つ。
Kite AIは「匿名実行なし、暗黙の信頼なし」を掲げ、すべての権限を明示的かつ実行可能にしている。
ERC-8004はマルチチェーン展開も進んでいる。BNBチェーンは4日、ERC-8004をBSCメインネットとテストネットに展開したと発表した。低手数料と高速トランザクションを武器に、AIエージェント経済の実用化を目指す構えだ。
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AIエージェント経済への投資家の関心は高まっている。Kite AIは1月27日にメインネットロードマップを公開し、KITEトークン価格
KITEは約43%急伸した。同プロジェクトはコインベースベンチャーズから資金調達を受けており、総調達額は3,300万ドルに達する。
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ERC-8004のメインネット稼働と、Kite AIによる実装基盤の整備は、自律型AIソフトウェアが実用化に向けて着実に前進している証左だ。2026年2月は、AIエージェント経済の転換点として記憶される月となるかもしれない。
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