ジャスティン・サンのWLFI凍結が長期化　9月のブラックリスト入りで6000万ドル損失

ブラックリスト措置が解除されず評価額ベースの損失が拡大

ジャスティン・サン（Justin San）氏が保有するWLFIトークンは、2025年9月に実施されたブラックリスト措置以降も凍結された状態が続いており、トークン価格の下落によって評価額ベースで約6,000万ドル（約93.6億円）の損失が生じている。

WLFI（ワールド・リバティ・ファイナンシャル）は9月、フィッシング詐欺や高リスクなオンチェーン活動への対応として、複数のウォレットをブラックリストに登録した。対象となったアドレスはトークンの送受信や移動が不可能となり、保有資産へのアクセスが制限されている。

凍結に至った経緯と当事者の見解

WLFIによると、ブラックリストに登録されたウォレットは合計272件で、その多くは進行中のフィッシング攻撃やユーザーから報告されたセキュリティ侵害に関連していたという。

一部のウォレットについては、高リスクの脆弱性が確認されたとしている。この中には、WLFIの取引開始直後に約900万ドル（約14億円）相当のトークンを移動させたアドレスが含まれており、オンチェーン分析を通じてサン氏に関連付けられた。プロジェクト側は、今回の措置は特定の個人を標的としたものではなく、ユーザー保護を目的とした包括的なセキュリティ対応であると説明している。

一方、サン氏は不正行為を否定し、ブラックリスト措置は不当であると主張してきた。同氏はWLFIに対して7,500万ドル（約117億円）を投資し、長期的な支援を行ってきたことを挙げ、自身が不正に関与する合理的な理由はないとの立場を示している。

価格下落とガバナンスへの視線

WLFIトークンは9月のローンチ以降、取引開始時の高値から40%以上下落し、現在は0.13ドル前後で推移している。

オンチェーン分析企業Bubblemapsも、サン氏がブラックリストに掲載された状態が続く中で、ロックされたWLFIの評価額が約3カ月で6,000万ドル減少したと指摘している。

オンチェーンデータによると、サン氏は約5億4,500万枚のWLFIを保有しているが、ブラックリスト措置により売却やヘッジなどの対応を取ることができない状態が続いている。

WLFIのローンチ時には、供給配分やロック条件を巡る混乱も指摘されていた。コミュニティ向け配分や流動性配分の比率が当初の想定から変化したことで、実際の流通供給量が分かりにくくなり、供給構造が価格形成を複雑にしたと分析されている。

また、サン氏はドナルド・トランプ（Donald Trump）氏とその家族に関係する仮想通貨プロジェクトを支援してきた人物として知られており、WLFIを含む同陣営関連の取り組みに深く関与してきた経緯がある。現在、サン氏はWLFIの公式な役職から外れており、プロジェクトとの関係は緊張した状態が続いている。

WLFIはガバナンス主導のシステムを掲げているが、スマートコントラクトを通じてウォレットを凍結する権限を保持している。最初のブラックリスト措置から3カ月以上が経過した現在も解除時期は示されておらず、分散性や透明性、投資家保護のあり方を巡る議論が続いている。