ジーニアス・グループ(GNS)は2026年4月1日、保有する全ビットコイン(BTC)84.15BTCを売却し、850万ドルの債務を全額返済した。これにより、同社のバランスシートにはBTCがゼロとなった。
シンガポール拠点のAI駆動型教育企業である同社は、2024年11月12日にビットコイン優先戦略を採用した。これは米大統領選直後のことであり、保有する準備資産の90%以上をBTCとする方針とした。
今回の撤退は、選挙後の企業によるBTC準備資産導入の中でも最初期の事例として、16か月に及んだ取り組みの終結となった。
ジーニアス・グループのBTC保有量は2025年初頭に約440BTCでピークを迎えた。現時点でのランキングでは、この水準はBTCを保有する公開企業トップ70社に入る規模である。
同社は財務戦略をAI駆動型教育グループとしての自社アイデンティティと直接結び付けていた。BTCを人的資源のトレーニングや体験型学習プログラムと並ぶ主要な準備資産と定義した。
しかし、米裁判所の命令により資金調達や新株発行が禁止されたことで、事態が動き始めた。
この法的制約により、同社はBTC以外の手段で事業資金を確保できなくなった。売却は一括ではなく段階的に行われた。
2026年2月6日時点で、ジーニアス・グループは84.15BTCを保有していた。これは2025年12月下旬から2026年2月初旬にかけて約96BTCを売却した後の数字である。
段階的な売却により、BTC担保ローンは約850万ドルから最終的な清算直前には約330万ドルまで減少した。
最終的なBTC売却は2026年第1四半期に実施され、3月31日までに完了した。会社側は、4月1日の四半期決算発表にあわせて保有ゼロを公表し、全債務の返済完了を報告した。
なお、この撤退は損失を伴った。ジーニアス・グループのBTC平均取得価格は1枚あたり約10万2000ドル。一方、第1四半期売却時の相場は約6万6500ドルと値下がりしていた。
財務戦略の見直しとなったものの、事業本体は成長を維持している。2026年第1四半期の営業収益は330万ドルで、前年同期(120万ドル)比171%増となった。
売上総利益は200万ドルに増え、前年の52%から本年は62%へと粗利率も改善した。営業活動による調整後EBITDAは60万ドルの黒字となり、2025年第1四半期の赤字40万ドルから転換した。
ロジャー・ハミルトンCEOは、ジーニアス・スクールやジーニアス・アカデミー、ジーニアス・リゾートなど、高粗利の教育プログラムへの戦略的集中が業績改善の要因と説明した。
ジーニアス・グループは、BTCの売却を戦略の永久的転換ではなく一時的措置として位置付けている。
今後、市場環境がより有利と判断される段階で、再びビットコイン準備資産の積み上げを開始する方針を示した。
ハミルトンCEOは2024年以降、会社株式を550万株取得している。経営陣は、これは中長期の事業展望への自信の表れであると指摘した。
また、同社はバリで展開する教育・居住複合拠点「ジーニアス・シティ」プロジェクトの継続的拡大が、東南アジアでの成長戦略の一端であることも示した。
今後、BTC準備資産の再構築が可能かどうかは、売却を余儀なくした資金調達制約の解消、ならびに再取得時のBTC価格動向に左右される。